放蕩記

科学ライター 荒舩良孝の日記

2018年10月

TMT望遠鏡の建設が認められた

ハワイの最高峰、マウナケアの山頂には、日本のすばる望遠鏡をはじめ、世界の研究機関が望遠鏡を建設している。
そして、現在、日本、アメリカ、カナダ、中国、インドが共同でTMT望遠鏡(30m望遠鏡)がある。
ただ、このTMT望遠鏡は、地元住民の反対にあい、訴訟にまで発展していた。
その影響で、ここ1年ほど、建設がストップしていたのだ。

今日、その訴訟の結果が出たという発表があった。

 ハワイ州最高裁判所がTMT建設のための保護地区利用許可を有効と判断(国立天文台)

ということで、法的に建設が認められたので、これからTMTの建設が進んでいくことだろう。
天文ファンとしてはよかったなと胸をなで下ろしている。

マウナケアは、ハワイの人たちの聖地で、そこに外国人がたくさん望遠鏡を建設することに対して、よくない思いを抱く人もいるだろう。
でも、TMT望遠鏡の建設に関しては、ハワイの人たちのことも配慮して計画を進めてきたという話も聞く。
マウナケア山頂は、世界でも有数の天体観測スポットだ。
地元の人たちと折り合いをつけながら、たくさんの人たちがハッピーな気持ちになれればいいなと思う。 

どこに行く?日本のハロウィン

いつの頃からか、日本では10月末が近づくと、カボチャやろうそくなどの飾り付けが目立ち、色んな人が仮装をするようになった。
そう、ハロウィンの季節がやってきた。

ハロウィンと言えば、子どもにお菓子をあげる日という印象も強いのだが、もともとは古代ケルトのお祭りだったらしい。
ハロウィンの起源や由来などは、このサイトによくまとまっている。

ハロウィンが日本に定着するきっかけをつくったのはディズニーなんだろうなと何となく思う。
ディズニーのアニメにはハロウィンのエピソードなども出てくるし、それを見ていればやりたくなる。
それに、ディズニーランドでもイベント化しているから、その影響も大きいだろう。

よく言われることだが、日本人は外国の文化を取り入れるのがうまい。
しかも、その元々の意味に関わらず、日本人の都合のいいようにするのも。

ハロウィンは、いつの間にか、たくさんの人たちが大規模にコスプレをする日になってしまったようだ。
渋谷などの繁華街ではそれに加えて、たくさんの人が集まって騒ぐ日になった。

僕はハロウィンにコスプレをしたこともなければ、渋谷や六本木に繰り出して騒いだこともない。
20代だったらやってたかな?
やっぱりやってないと思う。
騒ぐのだったら、少ない規模ではしゃぎたい。
カラオケくらいがちょうどいいかも。

それはそうと、今年のハロウィンでは度が過ぎた騒ぎ方が報道されている。
報道されているのは、人の目を惹く特殊な例なので、全員が全員、暴れ回っているわけではないと思うが、何か理由がつくとそれを免罪符にして騒いでいいと思っているのかな。

それとも、ふだんのフラストレーションをハロウィンにぶつけているのだろうか。

それにしても、最近の日本でのハロウィンの変質ぶりには驚くばかりだ。
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写真は、どこかのドーナツ屋さんのハロウィン仕様のドーナツ。
僕も驚いて、こんな顔になりそうだ。 

新作のスーパーカミオカンデパズルを手に入れた

今日は所用があり、東京大学本郷キャンパスに行ってきた。
朝方は天気があまりよくない感じだったが、午後には雲1つない快晴で、秋晴れといった風情だった。
青い空に安田講堂がよく映えていた。

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せっかく東大に来たからと、生協を覗いてみると、新しいスーパーカミオカンデのパズルが並んでいた。
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ということで、すばやく1つ手に取り、レジに向かった。

まだ、パズルを楽しむ時間は取れないが、少し時間が空いてきたらチャレンジしてみようと思う。
第1弾の300ピースのパズルもかなり難しかったが、第2弾は500ピースだから、どのくらい時間がかかるかわからない。

ちなみに、第1弾のパズルは現品が売れてしまうと、もう販売しないようなので、気になる人はお早めに買ってみてくださいね。 

ちょっと変わった演劇体験

今日、池袋で、バック・トゥ・バック・シアターという劇団の「スモール・メタル・オブジェクツ」という舞台を見た。
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バック・トゥ・バック・シアターは、知的障害を持つ6人の俳優を中心に構成されたオーストラリア劇団で、今回、上演されたスモール・メタル・オブジェクツは、池袋西口公園そのものが舞台となった。

どういうことか。
池袋西口公園の一角には、催し物をやるためのステージが設けられているが、今回は、このステージが客席となっている。
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お客さんはステージ上につくられた特設観客席に座るわけだ。

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これが客席からの風景。
文字通り、池袋西口公園そのものが舞台。
お客さんは、ヘッドフォンをして、芝居を見るわけだけど、目の前を通り過ぎる人が、たまたま通った人なのか、舞台関係者なのかがまったくわからない。

この舞台の主な登場人物は4人。
前半はそのうち2人の会話で進行するのだけど、始まってから15分ほどは、その2人がどこにいるのかすらわからなかった。

街の雑踏と舞台が融合する、とてもおもしろいしかけだ。
通りかかる人たちは、自分が意識しないうちに、この舞台の共演者にされている。
通りがかった人の中には、この人たちは何でこんな場所でヘッドフォンをしているのかと怪訝そうに見ている人もいた。
つまり、僕は観客であると同時に、ある意味で出演者のような気分も味わっていた。

舞台の物語自体もどこに着地するのかなと思っていたけれど、自分の価値観とお金の価値のどちらが大切かということを投げかけられた気がした。

今までたくさんの舞台を見てきたけれど、こういう形で街中で舞台を見る体験をしたのは初めてだ。
ある意味でAR的な感覚だ。
AR技術は使っていないけれど、同じ風景でも、見ている人にとっては意味合いがいが違うものになるということで、日常風景にもう1つのレイヤーを重ねたようなおもしろい取り組みだった。

今後、ARなどが発達してくると、アバターなどを使って、日常風景の中でヴァーチャル演劇などを上演する機会も増えてくるだろうか。
そのときは、ヘッドフォンだけでなく、ゴーグルも必要になってくるはずなので、周りの人たちからすると、もっと奇異に映るかもしれないが。 

昔の資料を発掘

最近、資料を整理していたら、はやぶさ2の打ち上げの時の資料が出てきた。
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当時、特に記事を掲載する予定もなかったので、現地まで行く必要もなかったが、この打ち上げはこの目で見ておいた方がいいと思い、種子島まで行った。
この時は、種子島行きの準備が遅れていて、宿もレンタカーもまったく手配できていないまま東京を出発したが、打ち上げが延期になったおかげで、両方とも手配できた。

そして、4年くらい経って、実際、はやぶさ2関連の仕事もちょこちょことやっているし、打ち上げの様子を実際に見ているということがとても役立っていると思う。

行動を決めたときや実際に行動しているときは、「何の役に立つんだろう」とか、その価値が自分にはよくわからないことがよくある。
でも、数年後に、「あのとき行ってよかった」と思うようになり、その価値がわかってくることもある。
これからもできるだけ、自分がやりたいと思ったことを、実際にやれる人間でいたいところだ。