放蕩記

科学ライター 荒舩良孝の日記

2016年06月

東京駅に天の川が出現

今日は東京駅に行く機会があったので、地下1階に行ってみた。
ここはいつのまにか、お弁当やスイーツを売る店がひしめくグランスタというエリアになっていた。
その一角に、待ちあわせで有名な銀の鈴がある。
その銀の鈴のところに、七夕飾りが登場していた。

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しかも、その背景には、天の川が。
これは国立天文台が協力するイベント「七夕 GRANSTA 〜星に願いを〜」の一環として7月7日までおこなわれている。

最近は、夜も明るい場所が増えてしまったために、世界人口の3分の1は天の川が見られないないという。

 天の川見えない人口、欧州60%、北米80%(ナショナルジオグラフィック日本語版)

もちろん、東京も天の川を見ることはできない。
だから、せめてこういう写真を見て、天の川を感じないとね。
本当は、星空を見に行ければいいのだけれど。

この写真は世界中から天文台が集まるハワイ島のマウナケア山頂から見た天の川だ。
そして、国立天文台ハワイ観測所の藤原英明さんが撮影している。
藤原さんにはすばる望遠鏡の見学のときに、とてもお世話になった。

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近くで見ると、右下の方にすばる望遠鏡のシルエットも。

去年の6月にマウナケアの山頂に行き、星空を見たり、すばる望遠鏡の見学をしたりした。
マウナケア山頂付近の夜はとても寒かったが、それが気にならないくらい星がきれいだった。
この写真を見て、またマウナケアに行きたくなってしまった。

コスモアイル羽咋が20周年だそうです。

毎日新聞のWebにこんな記事が掲載されていた。

 米露の超一級品展示 コスモアイル羽咋20年(毎日新聞)

記事の中に出てくる高野誠鮮さんは、「ローマ法王に米を食べさせた男」として有名で、よくメディアにも取り上げられていた。

 『ローマ法王に米を食べさせた男』高野誠鮮著(PRESIDENT Online) 

コスモアイル羽咋は、高野さんがつくった博物館ということで、これまたたびたびメディアに取り上げられていたので、行ってみたいなとは思っていた。 
といっても、なかなか行けなかったのだけれども。

それが今年の7月に20周年を迎えるという。
いい機会だから行けるように計画してみようかな。

ちょっと調べていたら、6月30日22時からNHK BSプレミアムで放送されるコズミックフロントNEXTでコスモアイル羽咋が紹介されるという。
この日のテーマは、ソビエトのルナ計画なので、ここに収蔵されている展示品が紹介されるのだろうね。
予習がてら見ることにしよう。

重力波を生んだブラックホールの履歴書

今年の2月にアメリカの重力波観測装置LIGOが重力波を直接観測したと発表され、とても話題になった。
この重力波は、2015年9月14日に観測されたもので、地球から13億年離れた場所で、太陽の36倍と29倍の質量をもつ2つのブラックホールが衝突してできたものだった。
この2つのブラックホールが合体した後に、太陽の62倍の質量のブラックホールになったという。

2つのブラックホールが合体するということは足し算なので、当然、合体によってできたブラックホールの質量はもともとのブラックホールの質量を足しあわせたものと思うだろう。
でも、36+29=65になるはずなのだが、実際に合体した後にできたブラックホールの質量は太陽の62倍と、太陽3つ分の質量が減っていた。

その減った分はどこに行ってしまったのだろう。
実は、 減ってしまった太陽3つ分の質量が重力波へと変化して、地球にいる私たちに13億年前にブラックホールの衝突、合体が起きたことを知らせてくれたのだ。

これらの情報は、 LIGOがとらえた重力波を分析した結果、わかったことだ。
たった1つの重力波の信号でこれだけのことがわかるのか、ととてもビックリした。

でも、この重力波の信号から、さらに多く情報を引き出そうという研究もおこなわれているという。

ナショナルジオグラフィック日本語版のサイトには、重力波を生みだした2つのブラックホールについて、更なる情報を分析した研究結果が掲載されていた。

 重力波を生んだ太古のブラックホール衝突を解明(ナショナルジオグラフィック日本語版)

重力波を生みだした2つのブラックホールは、連星といって、お互いに相手のブラックホールの周りを回る状態になっていた。
そして、ブラックホールになる前は太陽と同じように恒星だった。
でも、太陽よりもかなり重い恒星で、それぞれ太陽の96倍と60倍の質量があったと推定されている。

この2つの恒星はビッグバンから20億年後に誕生したものだという。
恒星が誕生したときから連星運動をしていたのかはわからないが、それぞれの恒星が寿命を迎えた後、超新星爆発を起こしてブラックホールになった。
そして、今から13億年前にブラックホール同士が合体して、重力波がつくられたというストーリーができる。

1つの重力波からこれだけのことがわかってしまうというのは驚くべきことだ。
でも、このストーリーはまだ不確実な要素も多いだろう。
太陽の数十倍の質量のブラックホールがいきなりつくられるのか、それとも十数倍の質量のブラックホールがつくられて、それらが合体してだんだんと大きくなっていくのかも、まだまだよくわからない。

でも、これから重力波がたくさん観測されるようになれば、星が死ぬときの超新星爆発の詳しいしくみ、ブラックホールのでき方などがわかってくるようになるだろう。
 

Newton 8月号

科学雑誌Newton 8月号は、現在絶賛発売中です。
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大特集は、宇宙の大規模構造です。
大規模構造というのは、たくさんの銀河が並んでできている大きな泡のような構造のことをいいます。
なぜ、宇宙の大規模構造ができているのかということ自体、とても不思議なことですが、この大規模構造を詳しく観測することで、ダークマターやダークエネルギーの正体に迫っていけるのではないかと期待されています。

他にも、国際宇宙ステーションから見た風景の写真、水性哺乳類マナティ、発光生物などのビジュアルメインのページも楽しめます。

例によって僕も、FOCUSというニュース欄で1ページだけ書いています。
今月号は「遠くの宇宙でも一般相対論は正しかった」というものです。
一般相対性理論は、1915年にアインシュタインが発表した理論です。
100年前に発表されたものなので、すべて検証済みと思ってしまいますが、まだ検証しきれていない部分があります。
今回の記事は、宇宙の大規模構造のでき方を調べることで、より遠くの宇宙でも一般相対性理論が成り立つかどうかを調べた研究を取り上げました。
どこかでNewtonを見かけたついでに、読んでみてくださいね。



 

三峯神社と昔の思い出

今日は、午前中のうちに実家から東京に戻るつもりだったが、ひょんなことから三峯神社までドライブすることになった。
何だかんだいって、三峯神社には今年に入って3回も行っている。
行きすぎなのかもしれないが、今年は三峯神社と縁があるのだろう思うことにする。

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写真は、随身門という山門だ。

三峯神社は6月30日に大祓式というものをやるという。
この日は、人々の身についた穢れを祓う儀式ということらしい。
何でも、大祓式の当日に参加できなくても、事前に人型に身についた穢れをうつすことで、お祓いをして頂けるということだったので、僕も人型を頂き、穢れをうつしてきた。

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これで下半期も、元気に乗り切れることだろう。

三峯神社から戻るとお昼ぐらいになっていたので、僕が子どもの頃につれて行ってもらったレストランでご飯を食べることにした。
このレストランのカボチャのスープがとても好きで、母につくってくれと言ったこともある。
たぶん、25年以上ぶりに行ったのではないだろうか。

カボチャのスープはランチでもついてきた。
昔好きだったあの味と再会だ、と思って一口飲んでみると、「あれ? こういう味だったかな?」という気分になってしまった。
あ、もちろん、おいしかったのだけど、記憶の中ではもっとおいしかったのだ。

昔の記憶は美化されるっていうのはこういうことなんだろうなと体感して、東京に帰っていった。

そして、東京では仕事をちゃんと進めています(ということを、誰にいうでもなく記しておく)。