もう3月になってしまった。
最近、このブログでははやぶさ2関連の話題しか書いていないので、はやぶさ2関連の仕事しかしていないように思われるかもしれないが、もちろん、それ以外の仕事もしている。
というか、そっちの方が多い。

とは言っても、ブログでは今日もはやぶさ2関連になってしまうことをご了承いただきたい。

今日はJAXAではやぶさ2関連の会見日。
原稿の仕上がりが遅れてしまったが、何とか、仕上げ、関係各所に送ってから会見会場に駆けこんだ。
滞りがちな他の仕事も少しずつ進めていますと、誰となく。

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今日の記者会見のは、タッチダウンのときに小型カメラ(CAM-H)で撮影された画像をつなげたコマ撮り映像だ。


記者会見で、プロジェクトサイエンティストの渡邊誠一郎さんが、「砂や岩石の破片が祝福の紙吹雪のように舞い上がっているように見えた」と表現されたように、はやぶさ2のタッチダウンとともに、表面から砂や岩石が一気に舞い上がる迫力のある映像だった。
この映像を見る限りでは、サンプルもしっかりと回収できたと思われる。
(本当に回収できたかどうかは、地球に帰ってきたカプセルを開けてみないけど。まさに玉手箱)

しかも驚いたことに、このタッチダウンの誘導精度は1m。
つまり、はやぶさ2の中心点が、目標としていたL08-E1の半径3mの円の中心から1mしかずれていなかったということだ。
これは神業といってもいいのではないだろうか。

ただ、予想を超えて砂や岩石が舞い上がってしまったために、はやぶさ2の機体底面に設置された光学カメラONC-W1に塵などがたくさん付着して、感度が半分くらいに下がってしまったという。
通常の運用には支障がないが、タッチダウン運用などには不安要素となるので、今後、タッチダウンがおこなえるかどうか慎重に見極めるようだ。

この結果を受けて、はやぶさ2のリュウグウへのタッチダウンはあと1回で終わりにするかもしれない。
リュウグウへのタッチダウンは、リスクが大きく、表面の鉱物の組成もそれほど変わらない。
しかも、カメラの感度も下がってきたということを考えていくと、納得のいく決断だ。

とういうことで、2回目のタッチダウンは、インパクターという装置を使い、リュウグウに人工クレーターをつくった後におこなわれる。
インパクターというのは、リュウグウの上空から重さ2kgの銅の塊を秒速2秒の速さで打ちこむ装置。
直径10mほどのクレーターができれば、その中にタッチダウンとなるだろうし、できたクレーターが小さければその近くにタッチダウンする方向になるだろう。
インパクターをぶつけて、余計でこぼこができてしまうようであれば、2回目のタッチダウンそのものもなくなってしまう可能性もある。

はやぶさ2の今後の大まかな運用スケジュールは、こんな感じ。

小惑星にインパクターをぶつけるという試みは世界初になる。
その結果がどうなるかというのはとても楽しみなところだ。

ここまでいろいろな結果が出てしまった後でなんだが、今日発売の天文ガイド4月号で、はやぶさ2のタッチダウン成功の速報を1ページ書いた。
月刊誌なので、こういう情報はすぐに古くなってしまうのだが、タッチダウン成功の情報を、何とかねじこんだ。

FullSizeRender

書店などで見かけた人は、手にとってパラパラと見てくださいね。